理事長だより

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大阪商業大学堺高等学校での講演

2014年6月5日

6月3日(火)大阪商業大学堺高等学校において、「大学で何を学ぶべきか」と題し、谷岡一郎理事長・大阪商業大学学長が、3年生を対象に講演されました。

まず、生徒たちには、自分が興味を持ったものをどんどん追求していくこと、これが本当の意味で「大学で何をしたいか」ということのスタートだと思うと述べられたうえで、犯罪学やギャンブル学などのご自分の専門分野を、生徒を惹き付けるように、カジノ法案は一言一句に至るまで大阪商業大学で策定されたことや、結婚詐欺にひっかかりやすい職業は?といったクイズ形式の質問なども織り交ぜながら、自己紹介をされました。

次に、大阪商業大学とはどのような大学かということに触れ、就職率が高く、社長ランキングでも入学定員以上の社長を輩出しており、これは、卒業生数に対する社長に就く人数の率にすると、日本の800大学のうち19位以内に入る実績を有している。しかし、この実績は、単に大阪商業大学に入ったら就職できるのではなく、入学後にしっかり勉強し卒業することにより達成されるものであることを強調されていました。

他の大阪商業大学における新しい分野の取り組みとして、アミューズメント産業研究所では京都大学医学部と、JGSS研究センターでは15年間の永きに亘り東京大学と、それぞれ共同プロジェクトを進めてきており、それらを含め、世の中に必要とされているが、未着手の研究分野を古くから手掛けてきていることも、特徴のひとつとして挙げられると述べられました。

そして、いよいよ本題の「大学で何を学ぶのか」ということについて、高校までは基礎学力を蓄積することに重きを置くため暗記中心の勉学にならざるを得ないが、一旦社会に出たら、択一問題や正解が必ずあると判っている問題などは皆無であり、その中を乗り切っていくには、大学において「考える力」を付けなければならない。つまり、高校までに身に付けた知識(knowledge)から叡智(wisdom)、即ち、それを利用して考える力を養うところが大学である。その自分で考える癖を付けるには、まず、昨今スマホや携帯電話で簡単にさまざまな情報を入手することができるが、その情報収集で知識を習得したと満足せず、自分の頭で考えて情報を発信する側の人間にならなければならないと語られました。

次に、大学の使命としてひとつとして、グローバル・リーダーの育成が挙げられるが、国際的な教養を身に付け、グローバル・リーダーになるには、まず第1に日本文化を理解したうえで自分がどういう生き方をするか知っていることが必要である。つまり、自分が何者であるかを知らない人は、絶対に国際人になることはできない。第2にグローバルな人とは、相手の価値を理解し、そのうえで自分の主張ができる人のことを指すということであると述べられ、生徒たちも真剣に聞き入っていました。

次に、谷岡一郎理事長が特に大阪商業大学堺高等学校において是非言いたかったと前置きされ、切り出されたのは、今世界中で日本式の経営が最も優れたビジネスのやり方として見直されつつある。この日本式経営は、実は戦国時代にこの堺の地において堺商人により始まったものである。人間と人間との関係を大切に、時には損をしても末長いビジネスを展開していく、その堺商人の手法に今世界が注目していると述べられました。

最後に、大学で何を学ぶかの総括として、大学とは「考えるくせを訓練する場」である。世の中に「チャンス」はいくらでもあるが、その訓練の充分でない人は、気付かずに通り過ぎてしまう。故に大阪商業大学の教授陣に、学長としてかねがね言っていることは、できる限り4つのうち1つを正解とするような選択制の問題は出さないで欲しい。なぜなら、社会ではそれは通用しないから。そして、学生の間は、考えて、考えて、考え抜いたうえでの失敗は何度しても良い。大阪商業大学のモットーは、失敗の数だけ顔つきが良くなるということであると述べられたうえで、今日は大学を選ぶひとつの考え方として、大阪商業大学を例に紹介したが、皆さんには、大阪商業大学のみならず、自分の目で見て、できる限り多くの大学のオープンキャンパスへ足を運んで欲しい。そして、その中でこの大学は自分に合っていると思う大学を選んでいただきたい。ただし、偏差値が高いからというような理由で選んではいけない。それよりも卒業のときに、学生の人間性や付加価値が如何に高くなっているかという方がはるかに重要な要素である。そういう視点で大学を見て、親が他の大学を勧めても、自分はこの大学に行きたいと言えるぐらいの見識を持っていただきたい。そして、もし、来春の大阪商業大学の入学式であなた方にあえることができたら、これ以上ない喜びであるとの一言をもって締め括られました。

(秘書室)